整形外科
整形外科で治療する疾患は、関節・筋肉や骨、それを動かす神経、いわゆる運動器と呼ばれる部位のほぼすべての疾患が治療の対象になります。
膝・股・肩などの関節の痛み、腰痛や肩こり、手足のしびれや神経痛、関節リウマチ、骨粗鬆症、手足の疾患、傷や床ずれ、骨折・ねんざなどの外傷、スポーツによる障害など多岐にわたる上、複数の疾患が重なっていることも多く、患者さん各々の状態も異なります。
個人にあった適切な治療・リハビリテーションを理学療法士、看護師と一丸となり、患者さんとも相談しながら進めさせて頂きたいと思っています。よくある疾患については以下を参照してください。
巻き爪、陥入爪
足の爪が弯曲した状態を巻き爪、爪が周りの軟部組織に食い込んだ状態を陥入爪といいます。
爪の周りが赤くなったり、腫れたり、肉芽を形成することもあります。軽症なものはテーピング、簡単な傷の処置、クリップによる矯正などを行っています。進行したものや難治性のものはワイヤーを用いた矯正法(VHO)、そがわ式巻き爪矯正法(SH法)を施行しています。
そがわ式巻き爪治療法が受けれる医療機関
(http://www.oki-hifuka.jp/original46.html?mode=pc)
そがわ式巻き爪治療の説明
(http://www.oki-hifuka.jp/original41.html)(大木皮膚科 大木更一郎先生による説明)
そがわ式巻き爪治療は十川秀夫先生が考案されたワイヤーによる巻き爪矯正法です。
肉が持ったり、高度の変形があったり、再発したものなど難治性の巻き爪、陥入爪に高い治療実績があります。
当院は滋賀県でそがわ式巻き爪治療法を実施している唯一の機関です。
この治療をご希望される方は一度、電話でお問い合わせください。
VHO( http://www.vho.jp/)
(そがわ式巻き爪治療の方が治療成績が優れているため現在はほとんど実施していません。)
VHO法は本邦では保険外の診療になりますので、詳しくは電話でお問い合わせください。
腰部脊柱管狭窄症・腰椎椎間板ヘルニア
おしりや下肢のしびれや痛み、いわゆる坐骨神経痛を起こす代表的な疾患が椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症です。
脊柱管狭窄症は年齢に伴い背骨が変形したり、骨と骨との間にある軟骨(椎間板)が膨らんだりして、神経の通るトンネル(脊柱管)が狭くなった状態です。典型的な方は、歩行しているとおしりや下肢のしびれ・痛みのために歩行を中止し、休憩するとまた歩けるようになります。このような歩行は間欠性は行と呼ばれています。
椎間板ヘルニアは、椎間板が、年齢とともに傷んでしまい、脊柱管に飛び出した状態をいいます。年齢は脊柱管狭窄症よりも若い方に多く、30・40歳代に多いです。
治療は、薬物治療、理学療法、ブロック(注射による治療)を行います。神経の障害が高度の場合(下肢の麻痺を来したり、排尿障害を来したものなど)は、早期に手術が必要となります。痛みやしびれだけのものは手術受けずとも治療できるものも多くあります。
頚椎症
骨と骨との間にある軟骨(椎間板)が年齢とともに変性(老化現象)がすすみ、傷んでしまいます。それに伴い骨が変形し、骨の出っ張り(骨棘)を形成していきます。
症状は首や肩の痛みである局所の痛みが中心のもの、首から肩・腕・手にかけてしびれ・痛みが生じる神経根症、細かな手の動きがしにくい・歩行障害を来す脊髄症に大きく分けられます。
一般的に局所の痛みや神経根症に対しては、薬物治療・牽引などの物理療法などを行います。脊髄症や症状が長期に続く神経根症は手術がおこなわれます。
変形性膝関節症
関節の表面にある関節軟骨が年齢とともに弾力性を失い、すりへってきて、関節が変形していきます。膝の痛みや関節の腫れ、水がたまるといった症状が出現します。症状が進行すると、関節の動きが悪くなったり、O脚に変形していきます。
治療は、薬物治療(内服薬、外用薬、ヒアルロン酸の関節内注射)、理学療法、装具療法などを行います。これらの治療を行っても痛みが強い場合は手術を行うことがあります。
当院では関節注射などの薬物治療はもちろんのこと、理学療法プログラムを作成し、患者さんに説明しながらリハビリ治療を行っています。
肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)
加齢のため、関節を構成する骨、軟骨、靱帯や腱などの肩関節周囲の組織に炎症が起き、肩関節の痛みや動きの制限を生じる疾患です。
自然に治ることもありますが、放置すると関節が癒着して動きが悪いままになることもあります。治療は肩の関節が固まってしまうのを防ぐことが重要で、薬や注射による痛みのコントロールとリハビリによる治療を行います。
当院では理学療法プログラムを作成し、患者さんに説明しながらリハビリをすすめています。高齢の方の場合、肩を動かす腱が損傷(腱板損傷)している場合もあり、必要に応じてMRIなどの検査も行います。
肩腱板断裂
腱板とは肩の関節を動かす板状の腱のことです。腱板断裂とは、その腱が切れてしまったものを言います。転倒したり、重いものを持ち上げようとしたり、外傷をきっかけに発症する場合が多いですが、大きな外傷がなく、日々使うことですり切れるように発症することもあります。症状は、肩の痛みですが、特に動かすときに引っ掛かるような痛みであることが多く、肩の動きの制限をしばしば認めます。高齢者で五十肩の症状を訴えられる方の中には、腱板断裂であることがよくあります。治療は、腱板が切れていても、注射や理学療法などの手術以外の治療の効果がかなり期待できます。しかし、それらの治療の効果が無い場合には手術が検討されます。
ブロックについて
局所麻酔薬を用いて、疼痛を緩和する目的に行う注射の治療をブロックと呼んでいます。
施行する部位、方法によって様々なブロックがあります。硬膜外ブロックは、脊椎の神経を包む膜(硬膜)の近くに薬を注射します。選択的神経根ブロックは、左右に分かれている神経の枝(神経根)に直接、薬を注射する方法です。いずれも腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアに起因する坐骨神経痛に対して効果があります。
その他、疼痛のある部位に注射するトリガーポイントブロックなどを施行しています。
骨粗鬆症
骨が作られるのと吸収されるバランスが崩れ、骨がスカスカになってしまう疾患です。
内分泌疾患、関節リウマチ、薬物の影響によっても起こりますが、多くは年齢とともに進行し、特に閉経後の女性に多くみられます。本来は、痛みのない疾患ですが、ちょっとしたことで骨折を来してしまい、骨折によって痛みが残存したり、手術が必要になることもしばしばあります。脊椎に骨折を生じると腰が痛くなったり、背中が丸くなり、身長が低くなります。
診断には骨塩量の測定を行います。骨折を来すまでに適切に治療することが大切です。治療効果の判定には血液検査(骨吸収マーカー、骨形成マーカーの測定)を行っています。
関節リウマチ
関節リウマチは自己免疫疾患と考えられており、自分の体の一部に対して抗体が作られ、反応を起こしてしまい、関節の破壊を来す疾患です。手足の関節が、腫れて痛みを伴い、朝に手がこわばるような症状が出現します。
高齢の方の病気だと思われがちですが、30~40歳代の女性に多く発症します。治療は、薬物治療が中心で、関節が破壊される前に開始することが大切です。近年、薬物治療の発展が著しく、症状が緩和できるリウマチも多く存在します。