カテゴリー:日々の出来事の記事一覧 119 件

痛風

痛風、よく耳にする病気の名前です。

急に足の親指の付け根が腫れて、痛くなくなり、

整形外科を受診されることがしばしばあります。

風が吹ても痛いので、痛風です。

原因は血液中の尿酸と呼ばれる成分が上昇し、

(血液中の尿酸が高い状態を高尿酸血症といいます。)

関節内に尿酸の結晶ができることによって

関節に炎症が起こり、強い腫れと痛みをおこします。

 

高尿酸血症の原因は、何らかの原因で尿酸が腎臓から排泄されにくくなっていたり、

暴飲暴食によって、尿酸の原料となるプリン体を過度に摂取している場合があります。

 

高尿酸血症は、関節炎の原因だけでなく、腎結石の原因になり、

腎臓の機能も悪化させてしまうことがあるので、

関節炎だけでなく、怖い状態です。

 

治療は薬によって、体の中で尿酸が作られるのをおさえたり、

腎臓からの排泄を促したりします。

食事は肉類やアルコールを控え、プリン体の少ない食物を

多く食べるべきです。

 

注意したいのは、痛風の発作が起こっているときに

尿酸値を下げる薬を急に飲んでしまうと、余計に関節炎が

悪化することがあることです。

痛風が起こった場合は、痛み止めの薬や注射などで

まず、痛み・炎症を改善してから、尿酸値を下げる薬を開始します。

 

尿酸値を下げる薬は長期飲む必要があり、

痛みがないからと言って勝手にやめてしまうと

多くの場合、再発します。

 

痛風もばかにできない病気です。

腰椎分離症

腰椎分離症とは腰椎の一部(関節突起間部と呼ばれる部分)が

分かれてしまった状態を言います。

腰椎分離症の多くは疲労骨折によっておこります。

十代前半に多く、腰を過度に使うスポーツをしているとよく発生します。

なので、スポーツをしている子供さんの腰痛ではしばしばみられる病気です。

 

分離症はその時期によって治療方法が変わります。

初期、進行期、終末期と分けられますが、

初期や進行期の場合は、疲労骨折した部分を癒合させることが治療に

なります。

具体的にはスポーツの禁止とコルセットによる安静です。

初期の場合にはレントゲンで異常がないことも多く、

早期の診断にはMRIが有効です。

終末期は完全に骨が分離してしまい、もう癒合が望めない状態です。

いわゆる偽関節の状態になっています。

この場合は痛みを緩和していくのが治療となります。

 

しかし、分離症と診断されても、あまり悲観することはありません。

プロスポーツ選手でも分離症の選手はたくさんいて、

ほとんど無症状で経過している方もたくさんおられます。

 

分離症は、その病期、個人の活動、症状など総合的に判断して治療に当たります。

ロコモティブシンドローム

少しずつ知られるようになってきたことばですが、

一般の方の認知度はまだまだではないでしょうか?

 

今日は「ロコモティブシンドローム」の講演に行ってきました。

「メタボリックシンドローム」が広く知られるようになって、

整形外科も運動器の障害を広く認知していただけるように提唱しているものです。

 

「運動器の障害により要介護になる」リスクの高い状態になること」と定義されていますが、

加齢や疾患によって、動きにくくなってきた状態を指すといっていいと思います。

簡単に疑わしいかどうか調べるには、ロコチェックというものがあります。

ロコモの度合いを調べるには

どれくらいの高さから立ち上がれるか調べる「立ち上がりテスト」

2歩の歩幅を計測する「2ステップテスト」

質問で答える「ロコモ25」

で判定されます。

 

詳しくは日本整形外科学会が開設する専用のHPがありますのでこちらを参照に

https://locomo-joa.jp/

 

実際、ロコモティブシンドロームと診断されたら、

改善のためのトレーニング方法「ロコトレ」も紹介されています。

「片足立ち」「スクワット」がその中心です。

当院でも、判定や運動の指導を行っています。

 

まだまだ認知度が低いようですのでわれわれ整形外科医は頑張らないといけませんね。

スポーツ障害

今日は中学校に依頼され、

「スポーツ障害」について講演をしてきました。

スポーツ障害とは、スポーツによって生じた障害や、怪我のことを言いますが、

大きくは急性のもの(骨折、捻挫、靭帯損傷、肉離れなど)と

慢性のもの(使い過ぎによる靭帯、腱、骨、関節の障害)に分けられます。

代表的な疾患をについて説明して、その予防法などもお話ししました。

代表的な疾患は

リトルリーガーズショルダー、野球肘、オスグッド病、疲労骨折、腰椎分離症などです。

これらの疾患については、またの機会に詳しく述べさせていただくとします。

 

スポーツ障害でお困りのお子さんはたくさんおられるのでしょうね、

質問もたくさんしていただきました。

 

疾患の治療上、スポーツを中止しないといけない場合もあり、

その場合は、お子さんご本人、ご両親はつらいでしょうが、

それを指示する医師もつらいです。

しかし、将来に障害を残さないためにもやむを得ない場合も存在します。

中止する勇気も時には必要です。

 

 

 

間欠性跛行(かんけつせいはこう)

間欠性跛行(かんけつせいはこう)と聞いて、すぐにわかる一般の方は

少ないのではないでしょうか?

聞きなれない言葉ですが、整形外科にはこの症状を訴えて、

来院される患者さんはたくさんおられます。

 

間欠性跛行とは、歩行障害の様式で、

歩いていると、下肢のしびれや痛みのために、途中でたち止まってしまいますが、

しばらく休憩すると、また歩けるようになるような障害をいいます。

歩いたり、立ち止まったりするので、間欠性とよばれます。

 

この原因には大きく2つあります。

神経が原因で起こるものと、血管が原因でおこるものです。

 

神経で起こるものは腰部脊柱管狭窄症のように腰の神経の通り道が狭くなり

神経が障害されることで下肢のしびれや痛み、間欠性跛行を引き起こします。

 

血管によるものは動脈硬化が進行して、下肢に行く動脈がつまってきてしまう

慢性閉塞性動脈硬化症という疾患によって、下肢のしびれ痛み、

間欠性跛行を引き起こします。

 

両者が合併している場合もあります。

 

もちろん、MRIや、下肢の血流を計測する検査などで鑑別をしていくのですが、

症状の違いだけでもある程度予想ができます。

腰の場合は休む場合に丸くなったり、座ると楽になる場合が多く、

血管の場合は立ち止まることが重要で、姿勢に影響されません。

血管の場合は、足の脈が触れにくかったり、足の色が悪かったりします。

 

そういえば、間欠性跛行かもしれないと思われた方は、

近くの整形外科、医療機関でご相談ください。

季刊誌さんらく 冬号 2015

先週には院内に掲示、配布しておりますが、

季刊誌さんらく 冬号発行しています。

院内にてご自由にお持ち帰りしていただけます。

 

今回の内容は

表面は 巻き爪・陥入爪についてです。

巻き爪は爪が丸く巻いてしまった状態で、

陥入爪は爪のとがった部分が食い込んだ状態をいいます。

両者は合併していることもしばしばです。

巻き爪、陥入爪について、対処法や治療法(VHO法など)を詳しく説明しております。

 

裏面はリハビリについてです。

今回は理学療法士が記事を書いてくれました。

リハビリの治療とはいかなるものか、わかりやすく書いてくれています。

リハビリ治療を進めるうえでも根本的なところを理解していただくのに

とても大切な内容となっています。

 

ご参考になってください。

犬・猫に咬まれた

「犬にかまれた」「猫にかまれた」ということで

整形外科を受診される方はしばしばおられます。

小さな犬や猫なら傷は非常に小さくて、

すぐに閉鎖しますので

「大したことないわ~」なんて放置していると、

翌日、真っ赤に腫れてきて、膿が出てくるし

むちゃくちゃ痛い(T_T)

なんてことも・・・

動物の口の中には細菌がいっぱいいますし、

咬み傷は案外皮膚の深くまで入り込んでいます。

感染を起こす頻度は普通の切り傷に比べると非常に高いです。

実は最も感染の危険性が高いのは 人による 咬み傷だったりします。

 

傷をけがの直後に、縫い合わせるなどして閉じることを一時閉鎖といいますが、

咬み傷は一般的に一時閉鎖をしません。

傷を開けたままにして、汚いものを外に出すようにします。

 

咬み傷は小さき傷でも放置せず、整形外科などの医療機関で

しっかりと治療を受けられるほうがいいと思います。

 

 

心肺蘇生 便利なアプリ

先日、院内で一次心肺蘇生方法(BLS)の講習を行ったのですが、

その際、調べると、いろいろとアプリがあるんですね。

心肺蘇生法(CardioPulmonary Resuscitation; CPR)の

やり方がアプリになっているものもあります。

 

私がダウンロードしたアプリは

CPRメトロノームです↓

https://play.google.com/store/apps/details?id=info.mikuro.cprmetronome&hl=ja

 

心肺蘇生をする際に、胸骨圧迫をしますが、(いわゆる心臓マッサージ)

そのペースは1分間に100回以上と決まっています。

1分間に100回のペースを刻むためのメトロノーム機能の

アプリです。

スマホにダウンロードして、BLS講習が無事遂行できました。

便利な世の中になったものです。

槌指

槌指(つちゆび)ってしっていますか?

 

突き指したときになることが多いですが、

指の第一関節が垂れ下がって、伸ばそうと思っても

伸びなくなってしまします。

 

マレットフィンガーとも呼ばれます。

malletは木槌のことです。

その他英語では、baseball finger, dropped finger, dolphin fingerなんて

呼び方もします。

 

2つタイプがあり、

指を伸ばすスジが切れたものと

指先の骨が骨折したものに大きく分けられます。

 

筋が切れたものの多くは、装具によって固定をして治療します。

骨折を伴うものは手術を行うことが一般的です。

 

突き指して、槌指になってしまった場合は

整形外科での診察を。

骨がつかない

骨折をして整形外科で治療を受ける方はたくさんおられると思います。

 

ギプスで固定したり、手術を受けたり、その骨折に応じた治療を受けるのですが、

それらの治療にもかかわらず、骨がなかなか引っ付かない場合があります。

 

また、時々、骨折の治療を受けず、放置されることで、骨が癒合せず、

何らかの支障をきたす場合もあります。

 

一般的に、3か月たっても引っ付いていないものを「遷延治癒」

6か月以上たっても引っ付いていないものを「偽関節」と呼びます。

つまり、にせの関節という名の通り、本来なら固まっていなければならないところが

関節のようにぐらぐらと動く状態になってしまうということです。

 

このようになる原因は様々ですが、年齢や骨折の部位、骨の折れ方が影響します。

高齢な方では骨が付きにくく、血流がもともと悪いところの骨折、

ばらばらの骨折(粉砕骨折)や傷を伴い外界と交通した骨折(開放性骨折(複雑骨折))

はその危険性が高くなります。

 

治療は手術が行われることが多いですが、痛みがなく、日常生活に支障がないような部位や

状態であれば放置する場合もあります。

 

偽関節となった場合や偽関節になる可能性が高い骨折に対しては

超音波を用いることもあります。

超音波には骨が引っ付くのを促進させる効果があり、

スポーツ選手が早期復帰したい場合に用いられたりもしています。

 

当院でも骨のつきが悪い場合には超音波治療を行っています。

くわしくはお近くの整形外科でご相談ください。